伊藤和夫からのメッセージ

 高校や大学受験の英語が、中学の英語と大きく違うのは、漠然としたフィーリングで「たぶんこうだろう」「この意味であってほしい」という憶測や願望で満足せず、英語はたぶんこういう仕組みの言葉だから、この文はこの意味だ、いやこれ以外の意味はあり得ないという知的な読み方を目指す点に私はあると思います。

 そのためには「文法」、は欠かせないのですが 予備校の現場で見ていると、文法はやってこなかったか、やっていても生かじり学生が大半を占めるようです。

「動詞とは主語の動作・状態を表す語」だとか、「文とは原則として主部と述部を持つ構造形」だとかいう、部外者には、いやもしかすると言っている本人にもよくわからないよく分からない定義をお経の文句のように唱えるだけに終わってしまっていて、英文読解の実際面ではそれが何の役にも立ってないことが多いです。

 この本は「名詞」や「動詞」、「自動詞」や「他動詞」、「関係詞」や「接続詞」のような文法用語を、生きた英文の中でとらえ直し、それらを読解の道具として使うことが、英文の理解をどんなに着実かつ容易にするか、そのことによってどんなに明るい展望が開けるかを示すことを目標にしています。

英文解釈教室入門編 一部抜粋)